好きな本の話 2
- 名市大生協学生委員会

- 2025年10月22日
- 読了時間: 2分
最近犬を飼いました、17期コハダです。
前回は『草の花』(作:福永武彦)でしたが、今回は『私を離さないで』(作:カズオイシグロ)について書いてみたいと思います。カズオイシグロは、2017年ノーベル文学賞を受賞した日本人作家です。
本作の登場人物たちは、人間に臓器提供するために作られたクローン人間です。彼らはヘールシャムという隔離施設で育ちます。大人になると臓器を提供し、死ぬ運命にあります。
広い世界へ希望を持つ幼少期、成長しながら少しずつ未来を諦めていき、大人になって運命を受け入れて、残りの時間をどう生きるのかに向き合う…
この心情の変化が、とても現実味のある質感で描かれます。
この作品を読むと人生の始終を経験したような気分になれるので好きです。
登場人物たちの人生は、私たちよりも短い運命にあります。しかし、人生の各段階で出会う葛藤や、向き合うべきテーマは、根底で我々のものと通じる部分があると感じます。
この作品を読んで考えるのは、
「愛は生きる上での希望なのか、いつか終わる運命にある我々にとっては絶望なのか」
ということです。
本作の終盤、自らの運命を知った主人公たちの印象的なシーンです。
「野原のてっぺんで、二人はそうやって抱き合い、どれほど立っていたでしょうか。何もしゃべらず、ただすがり合っていました。烈風が吹きつづけ、わたしたちの服をはためかせます。抱き合っている二人を傍から見たら、闇の中に吹き飛ばされそうで、それを防ぐためにしがみつき合っているように見えたかもしれません。」
前回紹介した『草の花』の中では、
「艪のなくなった舟の上で、為すこともなく、二人手を取り合って待っていたいということ、それは藤木が僕を愛している証拠ではないだろうか。いつまでもこうして、不安の重みを量っていたいということ」
と語られます。幸せだけではなく、不安や絶望を共有することで、愛はより強くなるものなのでしょう。
さて、本作の魅力は、何といってもラストシーンです!!ラストシーンを読むと、いつも「私だったらどんな風に人生の最後に向き合うのだろう」と思いを馳せてしまいます。
『わたしを離さないで』、次の読書にぜひいかがでしょうか?!


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